任期満了前の解散②

「首相の専権事項」と誰もが言っているので疑ったことがなかったのですが、憲法の条文にはその旨書いていないそうで、いろいろ説があることを知りました。

最初にやったのが吉田茂で、当時改進党の議員だった苫米地義三が7条解散*は違憲ではないかと言って訴訟したのですが政治性が高い行為という理由で最高裁は判断しませんでした(1960)。

判断をしなかったので違憲とは言っていないからという論理構成で以後7条解散を認める憲法解釈が主流になり、総理の専権事項ということになった経緯があるようです。

*憲法7条3項の天皇の国事行為としての衆議院解散のこと。天皇の国事行為は内閣の助言と承認に基づいて行われる

「解散」がでてくるのは憲法69条の「内閣は、衆議院で内閣の不信任の決議案を可決し、または信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院解散されない限り、総辞職をしなければならない」と7条だけです。

基本的には内閣と衆議院がしのぎを削るような論点で抜き差しならない状態になったときに国民にそのどちらなのか問うという性格のものなので(69条)、それがないのに解散する(7条)のはそれに匹敵するよほどの理由がないといけないということになります。

これがいわゆる「大義」ですが、新聞各社バラバラですので本当はないというのが正しいように思います。

25日にアベちゃんは会見して発表するらしいですけどまた取って付けた理由をそれらしく語るいつものパターンなのが目に見えていますが。

先進国ではこういう解釈はどうしても与党有利になるので、たとえば日本が議会制民主主義のお手本にしたイギリスでも制約されて、議会任期固定法というものが出来で任期が5年で固定された上①内閣不信任案の可決②下院の3分の2の賛成があった場合に解散ができるようになったようです。

要は好き勝手解散なんかやってる国は後進国ということです。

決まりを守る気がない人物が総理大臣をやって憲法改正したいと言っているのってブラックジョークでしかないと思うのですが。