襲名取りやめ

三遊亭好楽の弟子の好の助が真打ちに昇進するにあたり林家九蔵を襲名することにしたのですが、

三遊亭好楽は元は今の林家正蔵(海老名泰孝・元こぶ平)の一代前の正蔵(林家彦六)の弟子で、師匠没後は五代目圓楽門下へ。そこで林家九蔵から三遊亭好楽に改名。

②弟子が真打ち昇進するに当たり、自分が以前名乗っていた名前に愛着があったのでそれをあげることにした。

③好楽は前の師匠である彦六の遺族や兄弟子の木久扇には相談して了承を得ていた。

④襲名を知った海老名家(香葉子・泰孝=正蔵)から横槍が入り、説明に行ったが説得できず断念。好の助のままで真打ち昇進することに。

 

何で海老名家が出てくるかというと、彦六が名乗っていた正蔵は海老名家から一代限りという条件で使っていた名称で、林家を名乗るならこちらに筋を通すべきというのと、好楽は彦六没後林家一門でなく三遊派圓楽門下に行ったのだからいくら自分がかつて名乗っていたからといって林家九蔵を弟子に継がせる(使わせる)のはいかがなものかという2つの理由からです。マスコミ発表で知ったようですが、先に相談に行ってもノーだったのではないでしょうか。

圓楽一門は正蔵が副会長をやっている落語協会ではないので真打ちになる仕組みも違います(落語協会の方が人数が多いので年功序列で順番に昇進していっても時間がかかります。寄席に出れるので席亭の推挙でなれる場合もありますが)。そういう観点からも相応しくないと思ったのかも。

これは海老名家と関係ないけど、九州のアマチュア落語家に九州限定で九蔵の名を使うのを許可してたのでそれを数えて朝の助は三代目としたというのもどうなんでしょう。これは師匠の親族等にお話していたのでしょうか。

海老名家の言い分で疑問に思うのが、名称って誰のもの?ということです。

いつの間にか名称が家のものになっていて海老名家がその最たる例(彦六、三平)だと思うんですが、世襲制の歌舞伎界ならともかく、落語界にそのルールを作って欲しくないと思います。別に噺家の家って宗家制でもないんですけど、勝手に宗家気取りと見えてしまうのは私だけではありますまい。

志ん朝の名称は鈴本演芸場の席亭預かりになっていると聞いた事がありますが、そういうのでいいんでないでしょうか(でも、志ん生は美濃部家預かりだったかも)。

別に噺家一家というのは自由なのでなりたいという子供がいたらやらせてもいいと思うけど、噺家の名称は禅譲(優秀な弟子等に継がせる)するべきで世襲させてはいけないと思います。

個人的感想ですが、親の名称を継いでいる噺家にロクなのがいないのがその証拠で、可愛い子に遺産として相続させたのかもしれないけど、芸がセコいので結果的に看板を汚していると思います。

中には木久蔵が息子に生前贈与して自分が新しく作った名前のダブル襲名というどうしようもないことをやっていましたが。

九蔵の名で真打ち昇進させるという記事を読んだ時、おかしなことをやるんだなあと違和感を持ったけど好楽には興味がないのでどうでもいいわと思っていましたが、文句を付けている海老名家もなんで名称が家のものなのを疑問に思っているかしそもそも海老名家に九蔵を使っていいと言える立場かどうか不明(一般論で言っているのかも私には不明)なので、この勝負はどっちもどっちで引き分けです。

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